
寝なきゃいけないのに、頭の中がうるさくて眠れない。隣の部屋の物音が気になって、何度も目が覚める。
そんなとき、ホワイトノイズを使う人が増えています。
ホワイトノイズというと難しそうに聞こえますが、要するに「ザーッ」という一定の雑音のことです。この音には、眠りを助ける働きがあると報告されています。
似ているようで違う、ピンクノイズとブラウンノイズも含めて、使い分けを整理します。
ホワイトノイズとは
人間が聞こえるすべての周波数の音が、均等に含まれている音のことです。
テレビの砂嵐、扇風機の音のような、一定の「ザーッ」という音を思い浮かべてください。
光の世界では、すべての色が混ざると白になります。それと同じで、すべての周波数が混ざるからホワイトノイズと呼ばれます。
音にも色の名前がついていて、ホワイト以外にピンク、ブラウンと呼ばれるものがあります。
なぜ雑音で眠れるのか
雑音を聞いて眠れるなんて逆効果では、と思うかもしれません。仕組みはこうです。
突発的な音を覆い隠す
私たちの脳は、静かな環境で突然聞こえる音に敏感に反応します。夜中の車の音、ドアが閉まる音、足音。こうした突発音が、眠りを浅くしたり目を覚まさせたりします。
ホワイトノイズを流すと、これらの音が「音の壁」に埋もれて、脳が反応しにくくなります。
騒音環境にいる人を対象にした研究では、寝つくまでの時間が短くなり、夜中に目が覚める回数も減ったと報告されています。
ただし、この研究は参加者10人という小規模なもので、ホワイトノイズ機器のメーカーが関わっています。効果があるという報告として受け取りつつ、決定的な証拠ではないと知っておいてください。
赤ちゃんが落ち着きやすい
赤ちゃんはお腹の中で、血液の流れる音や心臓の音を聞いて育ちます。だから一定の音を聞くと安心する、と説明されます。
新生児40人を対象にした試験では、ホワイトノイズを聞かせた群の80%が寝ついたのに対し、何もしなかった群では25%だったという報告があります。
早産児を対象にした研究でも、一定の音が心拍数や呼吸数を落ち着かせ、眠りの質を上げたという結果が出ています。
集中しやすくなる
カフェで作業すると、なぜか集中できる。あの感覚も、周囲の音が一定の雑音に紛れることで説明されます。
効果には個人差があります
ここは正直に書いておきます。
ホワイトノイズの効果を調べた研究をまとめた系統的レビューでは、証拠は限られている、という結論になっています。
寝つきには良い影響があったが、総睡眠時間や睡眠全体の質には差が出なかった、という報告があります。成人を対象にした小規模な研究では、むしろ睡眠の質が下がったという結果も出ています。
つまり、合う人には合う。合わない人もいる。試してみて、自分がどちらかを確かめるのがいちばん確実です。
三つのノイズの違い
周波数のバランスが違います。
ホワイトノイズ
全周波数が均等。テレビの砂嵐、扇風機、掃除機のような音です。
外の騒音が気になる方に向いています。ただ、高音が強めなので、人によっては「キーン」とした感じが気になることがあります。
ピンクノイズ
低い周波数が強く、高音が抑えられています。シャワーの音、雨の音、波の音に近い響きです。
ホワイトノイズが耳に刺さる感じがする方には、こちらのほうが合います。自然界にいちばん多く存在するタイプの音でもあります。
なお、ピンクノイズと記憶力の関係を示した研究がよく紹介されますが、あれは一晩中流し続けたものではありません。深い睡眠の脳波に合わせて、短いピンクノイズを鳴らす手法を使った実験です。流しっぱなしにすれば同じ効果が出る、というわけではないので、そこは分けて考えてください。
ブラウンノイズ(レッドノイズ)
さらに低い周波数が強く、滝の音、強い雨、海の波が打ち寄せるような重厚な音です。
包み込まれるような安心感がある、と言う方が多く、瞑想や深い集中に向いています。集中力への効果が話題になることもありますが、研究としてはまだ初期段階です。
どれを選ぶか
まずホワイトノイズを試して、高音が気になるならピンクノイズ、それでも合わなければブラウンノイズ。この順番で試すのがおすすめです。
ソルフェジオ周波数との違い
音を使うという点では似ていますが、性質がまったく違います。
ソルフェジオ周波数 は、528Hzや432Hzといった特定の高さの音です。その周波数そのものに意味があるとされ、意識や気分に働きかけることを目的とします。
ホワイトノイズ は、あらゆる周波数が混ざった音です。特定の高さを持たず、他の音を覆い隠すことが役割になります。
目的で選ぶなら、こうなります。
外の音が気になって眠れないなら、ホワイトノイズ系。静かな環境で、気持ちを整えたい、切り替えたいなら、ソルフェジオ周波数。
併用もできます。眠る前にソルフェジオを聴いて、眠るときはブラウンノイズに切り替える、という使い方をする方もいます。
効果的な使い方
音量は小さめから始めてください。かすかに聞こえるくらいが理想です。
一晩中流しても構いませんし、タイマーで30分から60分で切る形でも大丈夫です。
イヤホンより、スピーカーのほうが耳への負担が少なくなります。ベッドサイドに小型のスピーカーを置くのが扱いやすいです。
これがないと眠れない、という状態にならないよう、たまにはノイズなしで眠る日も作ってみてください。合わない場合は、無理に使う必要はありません。
赤ちゃんに使うときの注意
ここは、しっかり守ってください。
病院の新生児室では、音量を50デシベル以下に保つことが基準とされています。
そして、市販のホワイトノイズ機器14機種を調べた研究では、赤ちゃんの近くに置いた場合、すべての機種が推奨値を超えていました。
つまり、本体を赤ちゃんのそばに置くと、音量を絞っていても大きすぎる可能性があります。
守りたいのは三つです。
ベビーベッドから離して置く。できるだけ距離を取ってください。音量は、大人が聞いて小さいと感じるくらいに。そして、24時間流し続けないこと。
聴力は、長期間の音の影響を受けます。心配なら、寝つくまでの30分だけ流して切る、という使い方が安全です。
よくある質問
Q. 一晩中流しても大丈夫ですか
A. 大人であれば問題ないとされています。ただ、音量は小さめに。気になるならタイマーを使ってください。
Q. 雨の音や波の音でもいいですか
A. 構いません。自然音はピンクノイズに近い性質を持つものが多く、同じような働きをします。
Q. 効果を感じません
A. 合わない方もいます。別のタイプを試すか、使うのをやめて構いません。眠れない状態が続いているなら、音の問題ではないかもしれません。
Q. ソルフェジオ周波数とどちらがいいですか
A. 目的が違います。外の音を消したいならノイズ系、気持ちを整えたいならソルフェジオです。
Q. 眠れない日が続いています
A. 週に3日以上、3か月以上続いていて日中の生活に支障が出ているなら、睡眠外来や心療内科で相談できます。音で解決しようとする前に、一度確認してみてください。
まとめ
ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズ。どれも眠りや集中を助けるとされますが、効果には個人差があります。
まずは試してみて、自分に合うものを見つけてください。合わなければ、使わなくて構いません。
※この記事は情報提供を目的としたもので、医学的な診断や治療に代わるものではありません。不眠が長く続く場合は、医療機関にご相談ください。








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