
子どもの頃(だいたい小学生くらいまで)、あなたを育ててくれた人との関係はどうでしたか。16の質問で、あなたが育った「家の空気」をふり返り、今の人間関係のクセとのつながりを見ていきます。
思い出すのがつらくなったら、途中でやめて大丈夫です。画面の「ここでやめる」からいつでも戻れます。覚えていないことは、いちばん近いと感じるものを選んでください。
親を責めるためのチェックではありません。
医学的な診断ではなく、ふり返りのための目安です。
「親」は、あなたを主に育ててくれた人(祖父母なども)に置きかえて読んでください。
愛着理論(ボウルビィ、エインズワース)の考え方をもとにした、ふり返りのためのチェックです。
子どもの頃の愛着は、大人になってからの関係の中で変えていけることがわかっています。
全16問。子どもの頃の家で、安心をどう感じていたかをふり返るチェックです。思い出すのがつらくなったら、途中の「ここでやめる」でいつでも止められます。
「私なんて価値がない」 「何をやってもダメ」 「愛される資格なんてない」
そんな声を抱えたまま、それでも少しずつ自分を取り戻していった方を、私はこれまでたくさん見てきました。
こういう声は、生まれつきの性格というより、子どもの頃に家の中で少しずつ覚えてしまったものであることが多いです。ほめられても素直に受け取れない。優しくされると、なぜか落ち着かない。そんな形で顔を出すこともあります。
覚えたものなら、書き換えられます。
今の状態を数字で見てみたい方は、先に自己肯定感診断を受けてみてください。10問、2分で終わります。点数が低めに出ても、落ち込まなくていいです。あれは価値を測るものというより、今どのくらい消耗しているかを見るものなので、「けっこう疲れてたんだな」とわかるだけでも収穫です。
機能不全家族で育つと、自己肯定感はどう削られるか
機能不全家族は、家族としての健全な働きが保たれていない家庭のことです。怒鳴る・無視する・否定的な言葉を浴びせる、叩く・物を投げる、必要な世話や愛情を与えない、子どもの境界線を無視して支配する、親がアルコールやギャンブルの問題を抱えている。形はいろいろです。
こういう環境で育つと、子どもはその場を乗り切るための守り方を身につけます。子どもなりの知恵です。困るのは、大人になってからも同じ守り方が続いて、人との関係や自己肯定感の足を引っぱってしまうことです。
しかも、身につけた本人にとっては、それが「普通」です。まわりと感覚がずれていると気づくのは、たいてい家を出てからずいぶん経ったころ。友だちの家族の話を聞いたり、職場で人と比べられたりしたときです。気づいた瞬間はショックかもしれません。でも、そこが動きはじめるちょうどいいタイミングです。
最初のチェックでわかる、子どもの頃の家の4つのかたち
ページの最初にあるチェックでは、子どもの頃の家が、次のどれに近かったかがわかります。
- 安心の土台がある 気持ちを受け止めてもらい、困ったときに頼れる「安全基地」があった
- 揺れる愛情の中で育った 愛情はあったけれど、優しいときと冷たいときの差が大きく、いつもらえるかわからなかった
- ひとりでがんばってきた 寂しさや悲しさを出しても、受け止めてもらえることが少なかった
- 怖さと隣りあわせの家だった 安心をくれるはずの人が、同時に怖さの源でもあった
結果は、親を裁く材料に使うより、今の自分の反応がどこから来ているのかを知る手がかりにしてください。わけがわかると、その反応に振り回される時間は、少しずつ短くなっていきます。
毒親の影響でできた「内なる声」
新しい仕事を任されたとき、うれしいより先に「失敗したらどうしよう」が浮かぶ。親の影響は、こんな声になって出てきます。
いちばんよく聞くのが、「完璧でなければ愛されない」という声です。何をしても「まだ足りない」しか返ってこなかった人は、完璧主義に陥って、自分を追い詰めやすくなります。
「そんなことで怒るな」「泣くな」と気持ちを否定され続けると、「私の感情は間違っている」という声が残ります。自分が何を感じているのかを、信じられなくなっていきます。
「あなたがいなければ」「あなたのせいで」と言われて育つと、「私は迷惑な存在」という声になります。自分がここにいること自体を、悪いことのように感じてしまう。
努力を認めてもらえず、いつも批判されてきた人には「頑張っても認められない」という声が住みついて、何をやってもダメだという無力感に覆われていきます。
この声は、自分の考えのように聞こえます。でも、もとは外から入ってきたものです。外から入ってきたものなら、出ていってもらえます。
「する価値」と「ある価値」
自己肯定感の話をするときに、知っておいてほしい区別があります。
する価値は、何かをすることで得られる価値です。仕事の成果、誰かの役に立つこと、能力。ある価値は、何もしなくても、ただそこにいるだけで持っている価値です。
「いい子にしていたら愛してあげる」「100点を取ったらほめてあげる」。愛や承認がいつも何かと引き換えだった人は、する価値しか知らずに大人になります。仕事で成果が出ないと自分に価値がないと感じる、休んでいると罪悪感や焦りが出てくる、ほめられないと自信が持てない。思い当たることが多いなら、自己価値が「する」の側に寄っている状態です。
する価値だけで支えている自己肯定感は、うまくいっているときは保てても、失敗や休みのたびに崩れます。安定した土台になるのは、ある価値のほうです。
ある価値を受け入れようとすると、怖さが出てくることがあります。役に立たない自分は捨てられるのではないか、という怖さです。そのときは、大切な人が「もう何もできなくなった」と言ったら、その人を見捨てるかを考えてみてください。見捨てませんよね。その人の価値は「すること」ではなく「その人であること」にあるからです。あなたも同じです。
自己肯定感を取り戻す7つの段階
過去の傷を認める
「でも、うちより大変な家はいくらでもあるし」。そう言いかけたら、いったん止めてみてください。
傷ついたと認めること。回復の入り口は、そこです。大したことないと小さく見積もらない。親も大変だった、仕方なかった、と理由をつけて片づけない。私が悪かった、と自分を責めない。あなたが感じた痛みは、全部正当なものです。
内なる批判者に気づく
自分を責める言葉が浮かんだら、一度だけ立ち止まって「これ、誰の声だろう」と聞いてみてください。多くの場合、その声は過去に聞いた親の声や、傷ついたときの記憶から来ています。
声がすぐに消えるわけではありません。それでも「これは私の声じゃない」と分けられるようになると、飲み込まれる深さが変わってきます。「あ、またあの口ぐせだ」と気づいて、ちょっと笑えた。そんな瞬間があったら、もう一歩進んでいます。
境界線を引く
こういう家で育つと、自分と他人の境目があいまいになりがちです。何でも「やってあげなきゃ」と感じたり、相手のために自分を犠牲にしたりして、悪意のある人にカモにされやすくもなります。
「NO」と言っていい、他人の感情の責任まで取らなくていい、自分の時間とエネルギーを大切にしていい。親との接触も、必要に応じて減らして構いません。最初のNOは、声が震えるかもしれません。それでも言えたなら、立派な一歩です。親との距離の取り方は「親への罪悪感が消えないのはなぜ?」に詳しく書いています。
自分に優しい言葉をかける
親友が落ち込んでいたら、たぶん「よく頑張ってるよ」と声をかけますよね。その言葉を、自分にも向けてみてください。失敗したときは「人間だから間違えることもある」、疲れた日は「お疲れさま」。最初は照れくさいので、心の中でつぶやくだけでも構いません。
自分を思いやる練習は、セルフコンパッションと呼ばれています。2023年に、56件のランダム化比較試験をまとめた分析が発表されました。それによると、セルフコンパッションに取り組んだ人は、うつ・不安・ストレスがいくらか軽くなっていました。効果は小さめから中くらいで、研究の質にばらつきがあるという注意書きもついています。それでも、気休めで終わる話ではないようです。
小さな「できた」と、何もしない時間
自己肯定感を育てるのは、小さな「できた」です。毎日5分の散歩、一日ひとつだけの片付け。完璧じゃなくていい。やろうと思ったことを、やれた。その事実がそのまま支えになります。三日坊主をくり返しても、やめた回数より、また始めた回数を数えてください。
もう一つ、わざと何もしない時間もつくってみてください。ぼーっと空を見る、温かいお茶を飲む、ただ呼吸を感じる。する価値に寄っている人ほど、最初は落ち着かないはずです。その焦りに気づきながら「今は何もしなくていい」と自分に言ってみる。ある価値に慣れていく練習です。
誰に話し、誰に話さないかを決める
若い頃、カウンセリングで「気のせい」と言われたことがあります。
初対面の相手に詳しく話すのはためらわれたし、時間の制約もあったので、ぼかして伝えたんです。そうしたら「まぁそんなもんだよ、家族は」と、きれいごとで片づけられてしまいました。
家族と距離を置いている理由を知らないまま、「家族を大切にしない人は悪い」と責めてくる人もいます。わかってもらえないことがあって当然です。無理解な人にあれこれ説明しても傷つくだけですし、「他の人と比べたら大したことないのかも」と自分を疑いはじめてしまうこともあります。比べなくていいんです。あなたが傷ついた、それだけで十分です。
だから、話す相手は選んでいい。本当に信頼している人以外には、事実を伏せておく。隠しごとをしているようで気が引けるかもしれませんが、自分を守るための選び方です。安心して話せる人がひとり見つかるだけで、呼吸がずいぶん楽になります。
同じ経験を持つ仲間とつながる
私も以前、表参道の公民館で開かれていた自助会に通っていた時期があります。ルールは「言いっぱなし、聞きっぱなし」。アドバイスも議論もしません。
正直、しんどい日もありました。つらい話を聞き続けると、心が重くなるんです。とくに聞いてしまう気質の人は、ほかの参加者の話を受け取りすぎて、疲れてしまうことがあります。
それでも、そこには大きな価値がありました。同じ傷を持つ人たちの中で感じる「私だけじゃない」という安心感。連絡先を交換しない、ちょうどいい距離感。どんな話も否定されない場所。しかも費用は、会場費の割り勘で300円くらいでした。
最近はオンラインの自助会も増えて、住んでいる場所に関係なく参加しやすくなっています。合わなければ次を探せばいいので、一回だけ覗いてみる、くらいの気持ちで出かけてみるのもいいと思います。
回復にかかる期間の目安
「どれくらいで良くなりますか」とよく聞かれますが、正直なところ、人によってまったく違います。
共通しているのは、まっすぐ良くなっていく人はいないということ。みんな良くなったり戻ったりをくり返しながら、全体としてゆっくり前に進んでいきます。数か月で「前より楽になった」と感じる方もいれば、何年もかけて少しずつ変わっていく方もいます。長くかかっているから、うまくいっていないということにはなりません。
目安にするなら、期間の長さより「戻ったときの落ち込み方が浅くなっているか」を見てください。前なら1週間引きずっていたことから、3日で戻ってこられるようになった。それは回復です。
よくある質問
Q. 機能不全家族かどうか、どうすればわかりますか?
「親のことを考えると体が重くなる」「幸せになることへの罪悪感が強い」「自分の感情がよくわからない」ということが長年続いているなら、機能不全家族的な環境で育った可能性があります。冒頭のチェックも手がかりになりますが、診断名としてより、自分を知るための視点として使ってみてください。
Q. 自己肯定感と自己受容は違いますか?
自己肯定感は「自分はできる・価値がある」という感覚で、状況によって上下しやすいものです。自己受容は「できてもできなくても、そのままの自分でいい」という感覚で、より安定した土台になります。この記事の「ある価値」は、自己受容のほうに近い話です。
Q. カウンセリングに行くべきですか?
有効な選択肢です。ただ、カウンセラーとの相性がとても大きいので、最初の人が合わなくてもあきらめないでください。私自身「気のせい」と言われた経験がありますが、合う人に出会うと全然違います。
Q. 自己肯定感が上がったかどうか、どう確認すればいいですか?
「自分を好きになれたか」で測ろうとすると苦しくなるので、失敗したときの立ち直りの早さや、断りたいときに断れた回数など、行動で見るほうが変化に気づきやすいです。
Q. 親を許さないといけませんか?
許すことは、回復の条件に入っていません。許せないままでも、人生は進みます。許しを目標に置くと、許せない自分をまた責めることになりかねません。
つらいときの相談先
ひとりで抱えきれないときは、次の窓口へ。
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
- いのちの電話(ナビダイヤル):0570-783-556(毎日10時〜22時。通話料は自己負担)
- 自殺予防いのちの電話:0120-783-556(毎日16時〜21時。毎月10日は8時から翌朝8時まで。無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(お住まいの都道府県・政令指定都市の公的な相談窓口につながります)
もし今あなたが子どもで、家の中が怖いと感じているなら、「189(いちはやく)」に電話すると近くの児童相談所につながります。
眠れない、食べられない、日常生活が回らないといった状態が続いているときは、心療内科や精神科の受診を考えてみてください。この記事は、医療的な診断や治療に代わるものではありません。
参考








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