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アダルトチルドレンの研究で知られる「家族の中の役割」の考え方をもとにしています。
医学的な診断ではありません。
全15問です。当てはまるものを選ぶと、子どもの頃に身につけた役割(がんばる子、お世話する子など)のうち、いちばん強く残っているものと、今の心の天気がわかります。
なぜ大人になっても、子どもの頃の記憶に苦しめられるのでしょうか。
もう何十年も前のことです。親の家も出たし、仕事もしている。それなのに、上司に「ここ、直しておいて」と言われただけで、帰りの電車でもまだ胸がざわざわしている。たいしたことじゃないと、頭ではわかっているのに。
こういうとき反応しているのは、今のあなたより、心の奥に残っている子どもの頃のあなたであることが多いです。インナーチャイルド、「小さなわたし」と呼ばれる存在です。
この子のことがわかってくると、振り回される時間が減って、毎日がずいぶん軽くなります。基本から実際のワークまで、順番にどうぞ。
インナーチャイルドとは
私たちの心の中に住んでいる、子どもの頃の自分のことです。
昔の話でしょ、と思うかもしれません。でも、その子は今も心の中で生きていて、毎日の感情や行動に影響を与えています。
パートナーが少しそっけないだけで嫌われたと極端に考えてしまったり、完璧にできないと自分には価値がないと感じてしまったりするのも、同じ仕組みです。大人の頭では、そんなことないよね、とわかっているのに、心がそう反応してしまう。それがインナーチャイルドの声です。
もとになっているのは、カール・ユングや、交流分析のエリック・バーンの理論です。そこから発展して、ACの分野ではジョン・ブラッドショーの著作を通じて広く知られるようになりました。
元気な「小さなわたし」と、傷ついた「小さなわたし」
愛情のある環境で育った場合、その子は自然に感情を表現できます。人を信頼できて、自分を大切な存在だと感じていて、遊び心や好奇心もたっぷり持っています。
機能不全家族で育った場合は、様子が違ってきます。見捨てられるのが怖い。自分は愛されない、という思い込みがあって、感情を押し込め、どこからか自分を責める声が聞こえてくる。感情そのものが麻痺していることもあります。
とはいえ、どちらか一方だけという人はほとんどいなくて、傷ついた子のすぐ隣に、ちゃんと元気な子もいます。
結果の「心の天気」の見方
天気は4つあります。
「晴れ」なら、小さな自分はわりと安心して過ごせています。疲れたときに昔の反応が顔を出すことはあっても、ちゃんと戻ってこられる状態です。
「晴れときどきくもり」は、ふだんは元気なのに、ある場面になると急に苦しくなるタイプで、そこに子どもの頃の我慢が少し残っています。
「くもり」は、子どもの頃に身につけた「生きのびるためのクセ」が、今のあなたを疲れさせているかもしれない状態です。
「雨」は、小さな自分がずっと泣いているような状態かもしれません。この記事のワークを一人で急いで進めるより、先に「ワークを始める前に」と「専門家と一緒に行ったほうがいい場合」を読んでください。
役割ごとの説明は、後半の「子どもの頃の5つの役割」にまとめています。
インナーチャイルドが反応しているときのサイン
軽く指摘されただけで、ずーんと沈む。あとから、あんなに気にすることじゃなかった、と思うのに、そのときは耐えられない。
言い返したあとで、なんであんなに怒ったんだろうと首をかしげる。出来事の大きさに比べて、反応だけが妙に大きいんです。
既読がつかないだけで、見放された気がする。
頭の中で、〜すべき、〜してはいけない、という声が響く。よく聞くと、誰かの口調です。
何も悪いことをしていないのに、休んだり楽しんだりすると罪悪感が湧いて、落ち着かない。
どれかにピンときたら、そこが小さな自分の声が聞こえやすい場所です。
それが反応かどうかの見分け方
もちろん、全部が反応とは限りません。
手がかりは二つあります。
一つは、反応の大きさと出来事の大きさが釣り合っているか。同じことを他の人が言われても、これほど傷つくだろうか。そう考えてみたときに、第三者が見ても不当だと感じる内容なら、あなたが過敏なわけではありません。他の人なら流せそうなことに強く反応しているなら、過去からの持ち越しがあるかもしれません。
もう一つは、相手が変わってもくり返されるか。別の職場、別の相手でも同じ場面で同じように反応するなら、理由は外側より内側にあります。
見分けがつくようになると、「あ、今のは昔の分だ」と一歩引けるようになります。それだけで、反応のあとにやってくる自己嫌悪がずいぶん小さくなります。
無視すると、声はもっと大きくなる
子どもっぽい、大人げない。そう思って、抑え込もうとする方はたくさんいます。
でも、無視された子どもはいなくなりません。むしろ、もっと大きな声で叫ぶようになります。
感情の爆発。体の症状。人間関係の問題。何かへの依存。さまざまな形で、ここにいるよ、見て、助けて、と訴えてきます。抑え込んでいるつもりが、実は音量を上げているだけ。そういうことが起こります。
逆に、聞いてあげれば静かになります。
研究でわかっていること
スピリチュアルな話でしょ、と思われがちなインナーチャイルドですが、これに近いアプローチには、実際に研究があります。
内的家族システム療法(IFS)の研究
IFSは心理療法のひとつで、心の中にはさまざまなパーツがいる、と考えます。傷ついた子どものパーツと対話して癒しを促すところが、インナーチャイルドワークと重なります。
2021年に発表されたパイロット研究では、複数の子ども時代のトラウマを抱えるPTSDの成人を対象に、16回のセッションが行われました。
結果として、PTSDの症状と抑うつが大きく減少し、感情の調整、解離、自己への慈しみといった面でも改善が見られました。1か月後の追跡では、92%がPTSDの診断基準を満たさなくなっていました。
この数字の読み方
ここは正確に書いておきます。
この研究は参加者17名の小規模なもので、比較する対照群がなく、研究チームにはIFSの開発者本人が加わっています。
有望な結果ではありますが、確立した治療法として証明された段階にはまだ届いておらず、現在もより大きな規模での研究が進められています。
もう一つ。この92%は、訓練を受けた治療者と16回のセッションを行った結果です。一人で行うセルフワークとは、条件がまったく違います。
それでも、意味のある数字です
子どもの頃の自分と対話する、というアプローチが、臨床の場で真面目に研究され、成果が報告されはじめている。証明されたとまでは言えなくても、試してみる価値のある方法だと考えています。
響きはスピリチュアルでも、中身は心理療法の世界で扱われているものです。
ワークを始める前に
用意しておくといいものが、ひとつあります。「戻る方法」です。
インナーチャイルドワークは、強い感情を呼び起こすことがあります。長く閉じていた記憶や痛みが、思ったより大きな形で出てくることも。帰り道を先に作っておけば、安心して進められます。
今ここに戻る方法
つらくなってきたら、周りを見回して、見えるものを5つ数えます。次に聞こえる音を4つ、触れているものを3つ。数は適当でかまいません。感覚を通して、今この部屋にいることが確かめられればいいんです。
足の裏が床に触れている感覚に意識を向けるのも効きます。息を、吸うより長く吐く。温かい飲み物を持って、その温度を手で感じる。今日の日付を声に出す。
これを、ワークを始める前に一度練習しておいてください。つらくなってから覚えるのは難しいものです。平気なとき、たとえばお茶を飲みながらでも一回通しておくと、いざというときに体が勝手に思い出してくれます。
それから、いつでも止めていい、と自分に許可を出してから始めてください。止められるとわかっているだけで、不思議と肩の力が抜けます。
子どもの頃の5つの役割|傷と癒やしの方向
家族療法士のシャロン・ワグシャイダー=クルーズは、機能不全家族の中で子どもが引き受けやすい役割を整理していて、診断では、その考え方をもとに5つの役割に分けています。
役割は、性格とは違います。その家の中で、子どもが自分の居場所を守るために身につけた方法なので、1人がいくつかの役割を持っていることもよくあります。
がんばる子(ヒーロー)
完璧じゃないと、愛してもらえない。
いい子でいること、結果を出すことで家族を支えてきた子です。大人になっても人の期待に応えようと頑張りすぎて、失敗が怖くて新しいことに踏み出せない。自分のことは、いつも後回しです。
この子には、そのままの自分にも価値があると知ることが助けになります。1日に1回、何もしない時間を「予定」として入れてみてください。休むことを自分に許す練習です。
お世話する子(ケアテイカー)
この子の口ぐせは、私が我慢すればみんなが平和。
まわりの大人の機嫌をとり、気持ちを先回りして、家の中を守ってきた子です。相手の気持ちを優先するのが当たり前になっているので、疲れていても「助けて」と言えません。頼まれると、無理をしてでも断れない。
この子が求めているのは、自分の気持ちを先に聞いてもらうことです。頼まれごとには、すぐに返事をせず「ちょっと考えさせて」と返すところから始めてみてください。
いない子(ロストチャイルド)
自分なんて、いない方がいい。
大人の手をわずらわせないように、静かに気配を消してきた子です。人前に出るのが苦手で、自分の意見を言うのが怖い。「どうしたいの?」と聞かれても、答えが出てこないことがあります。深い孤独感を抱えていることも多いです。
存在していることそのものを、認めてあげてください。何かができるからではなく、いるだけでいいと伝えてあげる。1日の終わりに、今日いちばん感じた気持ちを1語だけ書くのも、この子に気づく練習になります。
明るくする子(ピエロ)
みんなを楽しませなきゃ。そう思っている子です。
家の中の緊張をやわらげるために、おどけたり笑わせたりしてきた子です。マスコットとも呼ばれます。明るさは本物の強みですが、つらい気持ちまで笑いに変えてしまうので、本当にしんどいときほど誰にも気づいてもらえません。
真剣な感情も大切だと知ることから始まります。信頼できる人に1つだけ、冗談ぬきで本音を話してみてください。
反発する子(スケープゴート)
心の奥でつぶやいているのは、どうせ自分は悪者だから。
家族の問題を「あの子のせい」と背負わされ、困った子の役を引き受けてきた子です。本当は愛されたい。なのに、素直になれない。大切な人ほど試すような態度をとってしまうのは、見捨てられるのが怖いからです。
怒りの奥にある願いに気づくことが助けになります。本当は、わかってほしかった。そこを自分で認めてあげてください。
インナーチャイルドとの対話|基本のやり方
静かで落ち着ける場所を選んで、時間に余裕のある日に、深呼吸を数回して体の力を抜いてから始めてください。
まず、子どもの頃の自分を思い浮かべます。何歳くらいで、どんな表情をして、どこにいるのか、細かいところはぼんやりしていてもかまわないので、浮かんだ姿をそのまま見つめます。
そっと声をかけます。こんにちは、小さな○○ちゃん。どんな気持ちでいるの。
その子の声を聞きます。最初に浮かんだ感情や言葉を、そのまま受け取ってください。批判せずに、ただ聞きます。
大人の自分から返事をします。そうだったんだね。よく頑張ったね。もう一人じゃないよ。
最後に、必要な言葉をかけます。あなたは十分価値のある存在だよ。
何も浮かばなくても、失敗ではありません。閉じていた時間が長いほど、扉が開くまでに時間がかかる、それだけのことです。ある日ふと、小さな顔が浮かんだら、それが最初の返事です。
4つの実践ワーク
1. 写真を使った対話(約30分)
子どもの頃の写真(3〜10歳頃)と、ノートとペンを用意します。
写真を5分間見つめて、その頃の自分を思い出したら、その子に話しかけます。元気だった。寂しくなかった。何が一番悲しかった。
10分ほどかけて、返事を聞きます。最初に浮かんだものが答えです。
最後の5分で、慰めや励ましの言葉をかけます。よく頑張ったね。あなたは愛されている。
2. 手紙を書く
大人の自分から、子どもの自分へ。たとえば、こんなふうに。
小さな○○ちゃんへ
今日は手紙を書いています。あなたがどんなに頑張っていたか、どんなに寂しい思いをしていたか、今の私にはよくわかります。
あなたは本当によく頑張りました。あの大変な状況で、あなたなりに一生懸命生きていました。それは、本当にすごいことです。
でも、もう一人で頑張らなくて大丈夫。今の私があなたを守ります。あなたは愛される価値のある、大切な存在です。
愛をこめて 大人の○○より
子どもの自分から大人の自分へ書くときは、利き手と反対の手を使ってみてください。理性のフィルターが外れて、普段とは違う言葉が出てくることがあります。
字が汚くて当然です。それが、子どもの字です。
3. 安全な場所をイメージする
リラックスした状態で、子どもの頃に憧れた場所や、完全に安全だと感じられる場所をイメージします。
その場所にインナーチャイルドを招いて、ここは安全だよ、何をしてもいいよ、と伝えます。一緒に遊んだり、話したり、抱きしめたりする時間を作ってください。
感情が強く出たときの、避難先にもなります。
4. 感情を表現する
悲しみは、そのまま出してかまいません。泣くのを我慢しない。日記に書く。信頼できる人に話す。
怒りは少し扱いが違って、鎮める方向がおすすめです。
クッションを叩く、大声で叫ぶ、書き殴る。こうした発散は長く勧められてきましたが、研究では効果がないか、かえって怒りを強めるという結果が出ています。すっきりした感覚が、その反応を強化してしまうためです。
怒りが強いときは、深呼吸をする、その場を離れて時間を置く、ゆっくり体を動かす。こちらのほうが確実に効きますし、書く場合も、書き殴るより、何があってどう感じたかを落ち着いて書き出すほうが整理につながります。
そして喜びは、意識して増やしてください。好きなことをする。美味しいものを食べる。自然に触れる。傷を見るワークばかり続くと、それだけで消耗してしまうので、喜びの時間を並行して持つことが欠かせません。
毎日できるインナーチャイルドケア
朝、歯をみがきながら心の中で声をかけます。今日も一緒に過ごそうね。どんな気持ちかな。
夜、布団に入ったら、もう一度。今日もお疲れさま。明日も一緒だよ。
あいだに、その子が喜ぶことをひとつ。絵を描く、音楽を聴く、散歩する、動物と触れ合う、お風呂でのんびりする。
これが、意外と効きます。
一度やれば終わり、というものでもありません。子どもは一度会っただけでは信頼してくれなくて、また来てくれるの、また無視するんじゃないの、と物陰からじっと様子をうかがっています。
毎日数分でも語りかけていると、少しずつ信頼が育っていきます。ある朝、声をかける前から、なんとなく心があたたかい。そんな日が来たら、その子との距離はもうずいぶん縮まっています。
回復の3つの段階
最初のうちは、懐かしい感情がよみがえったり、今まで感じなかった感情が出てきたりします。自分に優しく、よく休んでください。
中ごろになると、怒りや悲しみが強く出て、家族との関係を見直したくなってきます。ここが一番しんどい時期になることが多いので、感情の波に飲み込まれすぎないよう、距離を取りながら進めてください。
そして統合の段階。心が静かになり、自分らしさを感じられるようになって、学んだことを日常に活かしていけるようになります。
まっすぐには進みません。行ったり戻ったりしながら、全体として前に向かっていきます。
専門家と一緒に行ったほうがいい場合
深い傷は、専門家と一緒に。
ワーク中に現実感がなくなる。記憶が急に鮮明によみがえって止まらない。感情が数日おさまらない。日常生活に支障が出ている。こうした状態なら、一人では進めないでください。
インナーチャイルドワークを扱うセラピスト、IFSの訓練を受けたセラピスト、トラウマに詳しいカウンセラー。選択肢はいくつかあります。先ほどの研究も、訓練を受けた治療者と一緒に行った場合の結果でした。
よくある質問
Q. ワーク中に感情が溢れすぎたらどうすればいいですか
A. いったん休憩して大丈夫です。感情が強く出ることは回復の一部ですが、圧倒されたと感じたら、そこで止めてかまいません。前半に書いた「今ここに戻る方法」を使って、いったん帰ってきてください。
Q. 子ども時代に特別つらい経験はないのですが、関係ありますか
A. 関係あります。明確な出来事がなくても、感情を受け止めてもらえなかった、期待に応え続けた、親の機嫌に気を配っていた。そういう経験は傷として残ります。比べる必要はありません。
Q. 子どもの頃の記憶があまりないのですが、ワークはできますか
A. できます。特定の記憶がなくても、今感じる感情や体の感覚を手がかりにしてください。記憶が少ない方には、写真を使ったワークが向いています。
Q. 親を悪者にするようで抵抗があります
A. 親を責めるためのワークとは違って、あのときの自分がどう感じていたかを認めるだけのものです。親にも事情があったことと、あなたが傷ついたことは、両方とも本当です。どちらかを否定する必要はありません。
Q. 一人でやるのが不安です
A. その感覚は正しいです。強い反応が出る場合は、無理せずカウンセラーやセラピストと一緒に進めてください。一人でやらなければならない決まりはありません。
Q. ワークをすると、かえって具合が悪くなります
A. 今はその時期ではないのかもしれないので、無理に続けないでください。眠ること、食べること、生活を整えること。土台ができてからのほうが、安全に進められます。
Q. 何も感じないまま終わってしまいます
A. 珍しくありません。感じないようにして生き延びてきた期間が長いほど、開くのに時間がかかるので、数回で判断せず、間隔を空けながら続けてみてください。
Q. 効果が出るまで、どれくらいかかりますか
A. 個人差が大きく、目安は出せません。参考までに、先ほどの研究では16回のセッションが行われています。一度や二度で変わるものではない、という規模感はつかめると思います。
まとめ
インナーチャイルドワークは、長いあいだ置き去りにしてきた「小さなわたし」と、仲直りしていく旅です。
一晩で終わるものではありません。それでも続けていくうちに、心が静かになる瞬間が、少しずつ増えていきます。
今夜、寝る前に一言だけ。今日もお疲れさま。それだけで、もう始まっています。
急ぐ必要は、どこにもありません。
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※この記事は情報提供を目的としたもので、医学的な診断や治療に代わるものではありません。








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