
朝、起こしてあげる。お金の管理をしてあげる。愚痴を聞いてあげる。
周りからは、面倒見のいい人に見えていると思います。実際、感謝もされているかもしれません。
それなのに、疲れています。
共依存という言葉は、たいてい両方をまとめて説明されます。依存する側と、依存される側。この記事では、世話を焼く側だけを扱います。
共依存をやめられないのは、優しさが理由ではありません
身も蓋もないところから書きます。
世話を焼くのがやめられないのは、それをやめると自分の価値がなくなるからです。
優しいからではありません。優しい人はたくさんいますが、全員が消耗するまでやり続けるわけではありません。やめられない人には、やめられない理由があります。
必要とされていないときの自分に、価値を感じられない。この状態だと、世話を焼くことは選択ではなく、生存の手段になります。
自分が共依存かどうかのチェック
当てはまる数より、どれに当てはまるかを見てください。
- 相手が自立しそうになると、嬉しさより不安が先に来る
- 頼まれる前に、先回りして手を出している
- 「ここまでは助けるけれど、ここからは自分で」と言えない
- 自分のことを聞かれると、答えに詰まる
- 相手の機嫌が悪いと、自分のせいだと感じる
- 断ったあと、罪悪感で落ち着かなくなる
- 手のかからない人といると、居心地が悪い
最初の一つが、いちばん重い項目です。あとの説明はここに戻ってきます。
共依存という言葉の成り立ちや、一途な愛情との見分け方は、恋愛の共依存とはにまとめています。
この形がどこで身についたか
幼い頃、無条件に受け取れなかった人ほど、この形になります。
お手伝いをしたら褒められた。妹の面倒を見たら認められた。親の機嫌を読んで先回りしたら、家が静かになった。
何もしていない自分が受け入れられた記憶が薄いと、こういう式が体に入ります。
役に立つ自分には価値がある。役に立たない自分には、たぶんない。
この式を持ったまま大人になると、誰かの世話を焼いていないと落ち着かなくなります。手のかかる相手を無意識に選ぶことすらあります。放っておいても大丈夫な人の隣にいると、自分の居場所がなくなるからです。
これは、その家の中では正しい戦略でした。実際にそうしないと危なかったので、身につけて当然です。問題は、家を出たあとも作動し続けることです。
アダルトチルドレンという言葉でまとめられる特徴の中でも、この役割は特に外から褒められやすく、それだけ気づくのが遅れます。
いちばん認めにくいところ
ここは、読んで嫌な気持ちになるかもしれません。それでも書きます。
世話を焼く人は、相手が自立しないように動いてしまうことがあります。
お金がないと言われたら、貸す。仕事が続かないなら、生活を支える。失敗しそうになったら、先回りして防ぐ。
一つひとつは善意です。ただ、結果として相手は困りません。困らないので、変わる理由もありません。
そして、変わらない相手がいる限り、あなたの役割は続きます。
意識してやっているわけではないです。ただ、相手が本当に自立したとき自分がどうなるかを考えると、どこかで怖い。その怖さが、手を出す動作に混ざります。
ここに気づけると、話が動き始めます。
相手の世話は、自分を見ないで済む場所です
もう一つ、機能があります。
相手の問題に集中している間は、自分の人生を考えなくて済みます。
自分は今どうしたいのか。この先どうするのか。何が寂しいのか。そういう問いは、目の前に困っている人がいると、後回しにできます。しかも、正当な理由つきで後回しにできる。
だから、世話を焼く関係は居心地が悪いのに、抜けにくいです。しんどいけれど、考えなくて済む。
抜けたときに最初に来るのは、解放感ではなく手持ち無沙汰です。ここで多くの方が、また新しい誰かの世話を始めます。
愛情と共依存の見分け方
基準を一つだけ挙げるなら、ここです。
相手が自立したとき、素直に喜べるかどうか。
本当に相手を思っているなら、相手が自分を必要としなくなったとき、うれしいはずです。
そこに寂しさより先に不安が来るなら、その関係は相手のためというより、自分の役割を保つために続いています。
もう一つ、わかりやすい違いがあります。愛情は「ここまでは助けるけれど、ここからは自分でやってね」と言えます。共依存は、それが言えません。言った瞬間に関係が終わる気がするからです。
我慢と自己犠牲の違いも、ここで分かれます。相手のために耐えた時間が、いつか二人の関係を前に進めるなら、それは我慢です。耐えても状況が動かず、耐えていること自体が関係を支えているなら、それは自己犠牲です。
共依存から抜け出す3つの手順
1. 二つのリストを書く
紙を用意して、二列に分けてください。
左に、相手のためにしていることを全部書く。右に、自分が本当はしたいことを書く。
右が書けない、という方が多いです。それ自体が答えになっています。自分の希望を長く保留にしてきたので、出てこなくなっているだけです。
2. 反応する速さを落とす
全部やめる必要はありません。速さだけ変えてください。
すぐに電話に出ない。すぐに返信しない。困っている話を聞いても、すぐに解決策を出さない。
10分待つ。それだけで、相手が自分で動くことがあります。今まで動かなかったのは、待つ前に手が出ていたからです。
最初は罪悪感で落ち着かなくなります。それは、境界線を引き始めたときに必ず出る反応です。慣れるまでの期間があると分かっていれば、耐えやすくなります。
3. 怖さのほうを見る
「私がいなくなったら、この人はどうなるんだろう」
この問いが出たら、そのあとにもう一つ足してください。
「この人は本当に、私がいないと生きていけないのか」
たいていの場合、答えはノーです。困りはするけれど、生きてはいけます。無力な人として扱い続けることのほうが、相手の可能性を閉じています。
一人で抱えないほうがいい場合
相手の側に借金、アルコールや薬物の依存、暴力が絡んでいるなら、自分の判断だけで動かないでください。
お住まいの自治体の精神保健福祉センターは、家族からの相談を無料で受け付けています。アルコールや薬物の問題なら、家族のための自助グループもあります。アダルトチルドレンの自助グループは、同じ形の人が集まっているので、説明が要らないのが楽です。
あなたが支え続けることが、専門の手が入るタイミングを遅らせている場合もあります。
よくある質問
Q. 自分が共依存かどうか、判断できません
A. 相手が急に自立して、あなたを必要としなくなったとき、最初に来る感情は何ですか。喜びなら問題ありません。不安や虚しさが先に来るなら、その関係はあなたの役割で支えられています。
Q. 世話をやめたら、相手に嫌われませんか
A. 変わる可能性はあります。ただ、あなたが尽くすことで成立していた関係なら、それは元から対等ではありませんでした。関係が壊れるとしたら、壊れたのではなく、支えていた柱が抜けただけです。
Q. 手を引いたら、相手が本当にダメになりそうです
A. 借金、依存症、暴力が絡んでいる場合は、一人で判断しないでください。精神保健福祉センターや医療機関が関わったほうが早く進みます。
Q. やめたら、何をすればいいかわかりません
A. 最初はそうなります。空いた時間に予定を詰めないでください。手持ち無沙汰に耐えている期間が、自分の希望が戻ってくるまでの時間です。
Q. 相手が親の場合はどうしたらいいですか
A. 構造は同じですが、切り離しにくさが違います。距離を取ることに強い抵抗が出るなら、連絡の頻度を決めるところから始めてください。会う回数ではなく、返信までの時間を先に変えるほうが動かしやすいです。
Q. 一人では難しいです
A. 根っこが幼少期にある場合、カウンセラーや心理士のサポートが効きます。自助グループも選択肢です。
まとめ
世話を焼くのをやめることは、相手を見捨てることではありません。
相手の力を信じるということです。そして同時に、役に立たない自分にも価値があると認める練習でもあります。
順番として、先に相手を手放すのは難しいです。まず、何もしていない自分がここにいてもいい、というところから始めてください。
そこが少し動くと、手を引くのが怖くなくなります。








[…] 支える側だけに絞った話は、共依存から抜け出したい。世話を焼くのをやめられない側の心理に書いています。 […]