
「なんだか最近ついてない」「体が重い、気持ちがどんより」「嫌な人と会ったあと、モヤモヤが取れない」
そんなときにおすすめなのが、塩風呂です。
塩は昔から「お清め」に使われてきました。お葬式のあとにもらう清め塩、相撲の土俵にまく塩、玄関の盛り塩。どれも、邪気を払うためのものです。
その塩をお風呂に入れて浸かることで、体にたまったものを洗い流せると言われています。
なぜ塩で「浄化」できるのか
イザナギの禊が原点
塩による浄化の歴史は、日本神話にまでさかのぼります。
『古事記』に、こんな話があります。イザナギノミコトは、亡くなった妻イザナミを追って黄泉の国へ行きました。けれど、変わり果てた妻の姿を見て恐ろしくなり、逃げ帰ってきます。
地上に戻ったイザナギは、死の国の穢れを祓うため、水に入って体を洗い清めました。その場所は、海の近くの河口だったと伝えられています。
これが「禊祓(みそぎはらえ)」の始まりです。海の水で身を清めたこの神話から、海から生まれる塩には、穢れを祓う力があると考えられるようになりました。
「ケガレ」は「気枯れ」
神道でいう「ケガレ(穢れ)」は、「気枯れ」のことだ、という説があります。
気、言いかえればエネルギーや生命力が、枯れてしまった状態。大切な人を亡くした悲しみや、災難や病気に見舞われたとき、人の気は枯れてしまう、という考え方です。
汚れているわけではなく、減っている。そう捉えるところに、この考え方のやさしさがあると思います。
その枯れた気を取り戻すために使われてきたのが、命の源である海から作られた塩です。塩風呂は、ただのリラックス法にとどまらない、長い時間をかけて受け継がれてきた再生の習慣です。
相撲の塩まき
力士が土俵に塩をまくのは、パフォーマンスではありません。
相撲は、もともと五穀豊穣を願う神事として始まったものです。土俵は神聖な場所で、塩をまくことで邪気を払い、清めています。
塩をまけるのは、十両以上の力士だけ。一人前と認められたしるしでもあります。1場所15日間で使われる塩は、約650キロにもなるそうです。
盛り塩のルーツ
お店や玄関に置かれる盛り塩にも、面白い由来があります。
今から1700年ほど前、中国・晋の皇帝だった司馬炎には、1万人もの宮女がいたと伝えられます。皇帝は羊に引かせた車に乗り、羊が止まった部屋の女性のもとで夜を過ごしていたそうです。
そこで、ある賢い女性が考えました。羊は塩が好きだから、部屋の前に塩を置いておけば立ち止まるはずだ、と。この作戦がうまくいき、彼女は皇帝に大切にされたと言われています。平安時代の漫画を読んでいてもこういった逸話は出てくるので広く知られた話でしょうか。
ここから、盛り塩が「人を招く」「福を呼び込む」縁起物になったという説があります。日本では、この「千客万来」の意味と、神道の「清め」の意味が合わさって根づいたようです。
塩は「命の源」
人の体に、塩分は欠かせません。血液にも汗にも涙にも、塩が含まれています。
昔の人は、塩が食べ物の腐敗を防ぎ、傷口を清めることを経験から知っていました。命の源である海から作られる塩だからこそ、生命力を取り戻す力があると考えられてきたのでしょう。
塩風呂の効果
気持ちの面
満員電車、愚痴や悪口、苦手な人との時間。そういう日々の出来事が積み重なると、体が重くなったり、気分が落ち込みやすくなったりします。
塩風呂でたまったものを洗い流し、心と体をリセットする。「ここで区切りをつける」という行為そのものに、意味があります。
体の面
ゆっくり湯船に浸かると、血のめぐりがよくなって、冷えや肩こり、むくみがやわらぐことがあります。塩を入れたお湯は、お風呂上がりに体がぽかぽかしやすいと感じる人も多いです。
塩風呂のやり方
用意するもの
- 天然塩(海塩や岩塩など):ひとつかみ(30〜50gほど)から、多くても100gまで
- 日本酒(お好みで):コップ半分ほど
スピリチュアルでは、ミネラルを取り除いた精製塩(食卓塩)より、天然塩のほうが浄化に向いているとされます。スーパーで買える海塩や、ヒマラヤ岩塩などで十分です。
基本の5ステップ
- お風呂場を掃除する:汚れた場所では、気持ちが切り替わりません
- お湯を張る:38〜40度くらいの、ぬるめがおすすめです
- 塩を入れて、よく溶かす
- 10〜20分、ゆっくり浸かる:スマホは見ずに、たまったものが流れていくイメージで
- シャワーで塩を洗い流す:髪にも塩水がつくので、ていねいに
日本酒を加える「塩酒風呂」
塩風呂に日本酒を加えると、清めの力が高まります。神社のお神酒も日本酒で、塩と同じく、昔から清めに使われてきました。
量は、コップ半分から1杯ほど(100〜200ml)。純米酒がおすすめですが、料理酒でも構いません。高いお酒を使う必要はありません。お酒に弱い方や、肌が敏感な方は控えてください。
頻度とタイミング
ふだんは週1回が目安です。「最近ついてない」「嫌なことが続いている」というときは、週2回くらいに増やしてみてください。
新月や満月の日、嫌なことがあった日、人混みに行ったあと、疲れがたまっているとき。そういうタイミングが、特に向いています。
服や部屋まで含めて整えたい日は、こちらも参考にしてください。
→ 自宅でできるセルフ邪気払い|空間と自分を清める方法と、読む前に確認してほしいこと
→ 嫌なことがあった日の浄化洗濯|服に残ったものを流す4ステップ
気をつけたいこと
追い焚きはしないでください
塩分で風呂釜や配管を傷めることがあります。心配な方は、給湯器の取扱説明書を確認してから使ってください。
残り湯で洗濯はしないでください
塩分が衣類や洗濯機に残ってしまいます。
肌が弱い方は、少なめから
ひとつまみ程度から試して、様子を見てください。傷や湿疹があるときはしみるので、避けたほうが安心です。
上がる前に、しっかり洗い流してください
塩が肌に残ると、乾燥や刺激の原因になります。
「好転反応」って本当?
塩風呂に入ったあと、頭が痛くなった、だるくなった、めまいがした。それを「好転反応」「浄化が進んでいるサイン」と説明する話を見かけることがあります。
でも、入浴中や入浴後にこうした症状が出たら、それは浄化のサインというより、体からのSOSだと考えてください。
塩を入れたお湯では汗をかきやすく、そのぶん、のぼせや脱水が起きやすくなります。頭痛、だるさ、めまい、動悸は、どれものぼせや脱水でよく起きる症状です。
- 症状が出たら、すぐに湯船から出る
- 涼しい場所で横になって休む
- 水分をとる
入浴の前後にコップ1杯の水を飲んでおくだけでも、かなり防げます。「好転反応だから」と我慢して入り続けるのは、やめてください。
高血圧や心臓の持病がある方、妊娠中の方は、長湯を避けてください。心配な場合は、かかりつけの医師に確かめてから試してください。冬は、脱衣所と浴室の温度差にも気をつけてください。急な温度の変化は、血圧を大きく動かします。
よくある質問
伯方の塩や赤穂の天塩でも大丈夫ですか
大丈夫です。高価な塩を使う必要はありません。スーパーで手に入る海塩で十分です。
バスソルトでもいいですか
浄化が目的なら、無添加の天然塩のほうが向いています。香りや保湿を楽しみたいならバスソルトでも構いません。目的に合わせて使い分けてみてください。
家族と一緒のお風呂でもいいですか
構いません。気になるなら最後に入るか、自分の入浴後にお湯を抜くとすっきりします。
どのくらいで効果を感じますか
その日のうちに軽くなったと感じる人もいれば、何も変わらない人もいます。変化がなくても失敗ではありません。ゆっくりお湯に浸かって、頭を空っぽにする時間を持てたこと自体に意味があります。
気分の落ち込みが続いていて、塩風呂で楽になりたいです
ゆっくりお湯に浸かる時間は、気持ちを休める助けになります。ただ、塩風呂は、心の不調の治療の代わりにはなりません。気分の落ち込みや眠れない状態が2週間以上続いているなら、心療内科やかかりつけの医師に相談してください。誰かに話を聞いてほしいときは、「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」も利用できます。
シャワーしかない場合は、どうすればいいですか
洗面器にお湯を張って塩を溶かし、足だけ浸ける足湯でも代わりになります。塩をひとつまみ手に取り、体をなでるようにしてから洗い流す方法もあります。
塩の量は、多いほど効きますか
多ければいいものではありません。多すぎると肌への刺激が強くなり、風呂釜への負担も増えます。多くても100gまでで十分です。
体も心もリセットして、明日へ
イザナギの禊から、相撲の塩まき、盛り塩の文化まで。日本人は長いあいだ、塩の清める力を大切にしてきました。
「なんだか最近ついてない」「気分が重い」と感じたときは、試してみてください。
体も心もリセットして、明日からまた歩き出せますように。
※体調に不安がある方や持病のある方は、医師に相談のうえでお試しください。入浴中に体調の変化を感じたら、すぐに湯船から出て休んでください。








[…] 詳しいやり方や、日本の禊との関係については、塩風呂の浄化効果とやり方で書いています。 […]