
愛情の伝え方は5つある、という話は有名です。言葉、一緒に過ごす時間、プレゼント、手助け、スキンシップ。ただ2024年に、その前提を検証した研究が出ました。
少しだけ先に書くと、「一人にひとつ、決まった言語がある」という見方は、あまり支持されませんでした。
それでも、この診断には使いどころがあります。ちゃんと愛しているのに、なぜか届かない。そのすれ違いを、言葉にして話し合うきっかけになるからです。
まずは診断してみる
言葉、時間、贈り物、行動、ふれあい。愛情の受け取り方は5つあると言われています。どれか1つに決めるのではなく、今のあなたの「愛の献立」がどんなバランスになっているかを見ていきます。恋人がいない人は、家族や友人など大切な人を思い浮かべて答えてください。
全20問・約3分。2つのうち、よりうれしいほうを選んでください。どちらもうれしいときは、少しでも満たされるほうを。
人は自分が満たされる形で、相手にも愛情を渡しがちです。相手が今なにを求めているかは、この結果からはわかりません。「最近、どうしてもらえるとうれしい?」と聞いてみるか、相手にもこの診断をしてもらって、お皿を見せ合ってみてください。
愛情は、1つの言語より、バランスのとれた食事に近いものです。
足りないものは、時期によって変わっていきます。
結果の使い方は後半に書いています。先に読んでも、あとから読んでもかまいません。
恋愛言語(Love Languages)って何?
人が愛を表現し、受け取る方法のことです。
結婚カウンセラーで牧師のゲーリー・チャップマンが、長年のカウンセリング経験をもとに、1992年の著書『The 5 Love Languages』(邦訳『愛を伝える5つの方法』)で提唱しました。
何千組ものカップルと向き合う中で、チャップマンはあるパターンに気づきます。
「愛されていない」と訴える人がいる一方で、そのパートナーは「できることはすべてやっている」と言う。このすれ違いは、愛が足りないせいで起きているというより、二人が違う言語を話しているせいで起きているのではないか。
人は、自分が愛されたい方法で相手を愛しがちです。言葉で愛を感じる人は、相手にも言葉で伝えようとします。でも相手がスキンシップで愛を感じるタイプなら、せっかくの言葉も、思ったほどには届いていないかもしれません。
5つの恋愛言語
1. 肯定的な言葉(Words of Affirmation)
「愛してる」「ありがとう」「素敵だね」。こういう言葉が心にしみるタイプです。
伝えるなら、具体的にほめるのがいちばん。「優しいね」より「昨日、遅くまで話を聞いてくれたのが嬉しかった」のほうが、ずっと深く届きます。手紙や、ちょっとしたメッセージもよく効きます。
反対に、批判されたり、無視されたり、「言わなくてもわかるでしょ」という態度を取られたりすると、かなりこたえます。
2. クオリティタイム(Quality Time)
一緒に過ごす時間の中で、愛を感じるタイプです。
ただ同じ部屋にいればいい、というわけでもありません。欲しいのは、注意がこちらに向いている時間。スマホを見ながらの相づちより、目を見て話を最後まで聞いてもらえる10分のほうが、ずっと満たされます。
定期的に二人の時間をつくって、そのあいだはスマホを置く。それだけです。一緒にいるのにスマホばかり、約束を直前にキャンセル、というのがいちばん寂しいパターンです。
3. プレゼント(Receiving Gifts)
贈り物を通して愛を感じるタイプです。
値段は関係ありません。「あなたのことを考えていたよ」という気持ちが込められているかどうか。このタイプにとっては、そこがいちばん大事なところです。
記念日を覚えておく。前に欲しがっていたものを覚えておく。手作りのものも喜ばれます。記念日を忘れられたり、「物より気持ちでしょ」と言われて何もなかったりすると、けっこう傷つきます。
4. サービス行為(Acts of Service)
行動で愛を表現し、受け取るタイプです。
皿洗い、洗濯、料理など、自分の負担を軽くしてくれる行動が、このタイプにとっては何よりの愛の証になります。
頼まれる前に動く。相手が苦手な作業を代わる。やると言ったことはやる。地味な積み重ねがいちばん響きます。「あとでやる」と言ったままやらない、が続くと、気持ちまで疑わしく見えてくるタイプでもあります。
5. 身体的な接触
スキンシップを通して愛を感じるタイプです。
ハグ、手をつなぐ、肩にそっと触れる。それで安心します。毎日ハグする、並んで歩くときは手をつなぐ、それだけでも十分伝わります。触れてもらえない、ハグを断られる、といったことが続くと、言葉以上に寂しさを感じやすいです。
よくあるすれ違い
多いのは、肯定的な言葉とサービス行為の組み合わせです。片方は家事を引き受けることで愛情を示していて、もう片方は「愛してる」の一言を待っている。「こんなにやっているのに」と「家事は嬉しい、でも言葉がほしい」が、並んだまま交わらない。
プレゼントとクオリティタイムも、ずれやすい組み合わせです。心を込めて選んだ贈り物より、一緒に過ごす時間のほうがほしい、という人もいます。
どちらも、愛情がないから起きているわけではありません。伝え方と受け取り方が、少しずれているだけです。
最新の研究が指摘していること
ここは正直に。
2024年に、トロント大学のインペットらの研究チームが、これまでの恋愛言語の研究を検証したレビューを発表しました。
検証されたのは、この理論の三つの前提です。
まず「一人ひとりに主要な恋愛言語がある」という前提。研究から見えてきたのは、人が五つすべてを好み、評価しているという姿でした。一つだけが特別に効く、という結果は出ていません。
次に「恋愛言語は五つある」という前提。五つの分類には重なりが多く、はっきり分かれた別々のものとして成り立つかは疑わしい、とされました。
そして「同じ言語を話すと関係の質が上がる」という前提。言語が一致していることと満足度とのあいだに、一貫した関連は見つかりませんでした。むしろ、どの表現であっても、愛情表現が多いほど満足度が高いという結果が出ています。
そのうえで研究チームは、別の比喩を提案しています。
愛は、バランスの取れた食事のようなもの
炭水化物だけでも、しばらくは生きられます。でも、たんぱく質も脂質もビタミンも必要になる。
恋愛言語という考え方は、一つを選ばせる形になっています。食事の比喩なら、五つ全部を献立に載せたまま「今どれが足りていないかな」と話し合えます。
人も関係も変わります。忙しい時期にほしいものと、落ち着いた時期にほしいものは違います。決まった一つに固定しないほうが、実際の関係にはしっくりきます。
それでも、診断が役に立つ理由
じゃあ診断は無意味なのかというと、そうでもありません。
研究チーム自身も、この理論がここまで広まった理由を挙げています。自分が関係の中で何を必要としているかに気づけること。わかりやすい比喩で、話し合いのきっかけになること。
言葉にしにくい気持ちを、言葉にするための道具。そう考えると、診断はとても使いやすくなります。
結果は「私は○○タイプ」と固定するより、今の自分が何を求めているかの手がかりとして眺めてみてください。相手を型に当てはめる必要もありません。聞いたほうが早いです。献立には五つ全部を載せておいて、時期によって配分を変えていけばいいんです。
今日からできること
相手に聞いてみる
いちばん確実な方法です。診断を一緒にやってみてもいいし、シンプルにこう聞いてもいい。
「最近、どうしてもらえると嬉しい?」
相手がすぐに答えられないなら、五つを並べて「この中なら、どれ」と聞く手もあります。意外な答えが返ってきて、そこから会話が弾むこともあります。
自分の希望も伝える
「こうしてくれると嬉しい」と、具体的に伝えます。察してもらうのを待つより、ずっと早い。言ってみたら相手が「なんだ、そんなことでいいの」とあっさり叶えてくれた、という拍子抜けは、けっこうよくあります。
小さく始める
毎日「ありがとう」と言う。週に一度、二人の時間をつくる。ちょっとしたお菓子を渡す。家事を一つ引き受ける。ハグをする。
全部やらなくて大丈夫です。今週は一つだけ。相手の表情がふっとゆるむのが見えたら、それが当たりの合図です。
ときどき聞き直す
一度確かめたら終わり、ではありません。仕事が変わった、引っ越した、季節が変わった。状況が変われば、ほしいものも変わります。半年に一度くらい、「最近はどう?」と聞き直してみてください。
よくある質問
Q. 恋愛言語は変わりますか
A. 変わります。というより、最初から一つに固定されているわけではない、というのが最近の研究の見方です。時期によって必要なものが変わる、と考えてみてください。
Q. 恋愛言語が複数ある人もいますか
A. 多くの人が複数を持っています。研究では、人は五つすべてを好んでいました。
Q. 恋愛以外にも使えますか
A. 使えます。家族や友人、職場の人とのあいだでも、何をしてもらえると嬉しいかを聞くきっかけとして、そのまま応用できます。
Q. 相手が私の恋愛言語を話してくれません
A. まず、伝えたかどうかを振り返ってみてください。言っていないなら、伝えるところからです。伝えたうえで相手が何も変えようとしないなら、それは恋愛言語というより、関係そのものの問題かもしれません。
Q. 恋愛言語が違うと、うまくいきませんか
A. 違っていても問題ありません。研究では、言語が一致していることと関係の満足度に、はっきりした関連は見つかっていません。一致しているかどうかより、相手が今何を求めているかに気づいて応えることのほうが、満足度との関連が強いとされています。
Q. 科学的な裏づけはありますか
A. 五つの分類や、一致することの効果については、支持する証拠は乏しい、というのが研究チームの評価です。ただ、自分が何を必要としているかに気づく道具としては、十分に使う価値があります。
まとめ
「愛してる」と言っても届かない。プレゼントをあげても、なぜか喜ばれない。
多くは、伝え方と受け取り方の違いです。
相手を一つの型に当てはめる必要はありません。五つ全部を献立に載せたまま、今どれが足りていないかを、ときどき聞いてみる。
診断は、その会話を始めるための道具です。今夜、「最近どうしてもらえると嬉しい?」と一言聞いてみるところから、どうぞ。
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