
愛しているのに、どうして浮気するのか。
この問いに正直な答えを出そうとすると、きれいごとだけでは済まなくなります。脳のつくり、遺伝的な傾向、そして縁のあり方。それぞれの側から見ると、違う景色が見えてきます。
説明がつくことと、許されることは別です。ただ、仕組みを知ることで、感情ではなく構造として捉え直せるようになります。
脳は「新しさ」に反応します
浮気を語るときによく出てくるのが、クーリッジ効果と呼ばれる現象です。
同じ相手との関係が続くと性的な関心が低下し、新しい相手が現れると再び活性化する。動物実験で確認され、人間にも同様の傾向があるとされています。
新しさそのものが報酬になる、という仕組みです。これは理性でどうにかなる話ではなく、生き物としての反応に近いものになります。
女性にも起こる現象ですが、行動に出やすいのは男性のほうだと言われます。
恋愛はドーパミンで動いています
人類学者のヘレン・フィッシャーは、恋愛中の脳を調べて、報酬系が強く反応することを示しました。快感や渇望に関わる部位が、恋愛感情の最中に活性化しているというものです。
もっと欲しいという渇望が止まらなくなる状態は、感情というより回路の働きに近い。報われない恋、片思い、不倫相手への執着。これらが「好きだから」だけでは説明しきれないのは、そこに理由があります。
さらに、この状態は長く続きません。
フィッシャーの研究では、恋愛感情のピークは2年から3年程度とされています。その後はドーパミンの分泌が落ち着いて、オキシトシンによる安定した愛着の関係へ移っていきます。
オキシトシンは絆を深めますが、刺激は少ない。ここに新しさへの反応が重なると、外に刺激を求めやすくなります。
遺伝的な傾向もあります
ドーパミン受容体に関わる遺伝子(DRD4)の特定の型を持つ人は、新奇性を求める傾向が強く、性的な冒険やリスクの高い行動が多いという研究があります。
この型を持つ人は、新しい刺激に強い快感を覚えやすく、ギャンブルなどリスクのある行動にも走りやすい。男女ともに見られますが、行動として表に出やすいのは男性のほうだとされています。
ここは誤解のないように書いておきます。遺伝子は傾向を作りますが、行動を決めるのは本人です。この型を持っていても浮気しない人はたくさんいます。
一夫一婦制は、文化的な選択です
現代では浮気は悪いこととされていますが、歴史を見ると、婚外の関係が容認されていた時代のほうが長く続いています。
古代ギリシャ・ローマでは、神話の神々からして浮気ばかりですし、権力者が愛人を持つことは社会的な地位の表れでした。
中世ヨーロッパのフランス貴族社会では、宮廷愛と呼ばれる、結婚とは別の恋愛関係が広く行われていました。結婚は家同士の契約であり、恋愛は別に楽しむものという理解です。
江戸時代の日本でも、武士階級で正妻以外を持つことは珍しくなく、遊郭での遊びは粋な男の嗜みとされていました。
一夫一婦制は、人類の本能というより文化的な選択です。だからこそ、誠実さは意識して築くものになります。
ここから、縁の側の話をします
科学で説明できるのは、なぜ起きやすいかというところまでです。なぜこの人と、なぜこのタイミングで、というところは説明しません。
スピリチュアルには、その部分を縁として読みます。
縁には長さと役割があります
すべての縁が、長く続くために結ばれているわけではありません。
一時的に関わって、何かを渡すか受け取るかして離れていく縁があります。刺激を与える役、気づかせる役、終わらせる役。そういう役割を持って現れる相手がいる、という考え方です。
浮気相手として現れる縁は、この短期の縁であることが多いとされます。強く惹かれるけれど、続く形にならない。役割が終わると、急に熱が冷めます。
だから、浮気の最中は本気に感じられます。実際、その瞬間は本気なのだと思います。ただ、続く縁と、役割を持った縁は、感じ方が似ていても性質が違います。
繰り返す人は、同じ役を呼んでいます
一度きりではなく、何度も浮気する人がいます。
スピリチュアルには、その人の側に埋まっていない部分があって、同じ役割の相手を繰り返し呼んでいると読みます。相手が変わっても構図が変わらないのは、呼んでいる側が変わっていないからです。
だから、相手を変えても終わりません。次も同じ場所に立った人が来ます。
浮気される側にもテーマがあります
これは、責任があるという意味ではありません。浮気は、した側の選択です。
そのうえで、繰り返し同じ目に遭う方には、共通する状態があることがあります。相手の機嫌を優先しすぎる、違和感を見なかったことにする、去られるくらいなら我慢するほうを選ぶ。
こうした状態が続いていると、相手の側が線を越えやすくなります。越えても失うものがないと分かるからです。
繰り返し同じことが起きているなら、相手を見るより、自分がどこで線を引けていないかを見るほうが、次に効きます。
ツインレイやソウルメイトだと言われたら
浮気の文脈で、この人こそ運命の相手だ、ツインレイだ、と説明されることがあります。
ここは注意してください。
強く惹かれること、離れられないこと、会えないと苦しいこと。これらはツインレイの説明としてよく挙げられますが、依存状態の説明としても、そのまま当てはまります。
ドーパミンの回路が動いているとき、感覚としては運命に近いものになります。だから、渦中にいる人が自分で見分けるのは難しいです。
一つだけ目安を書いておくと、その関係の中で自分の生活が保てているかを見てください。仕事が回っている、眠れている、他の人間関係が壊れていない。保てているなら、まだ判断ができます。
保てていないなら、それが運命かどうかを考える段階ではありません。
それでも、誠実でいることは選べます
ここまで読むと、浮気は避けられないもののように感じるかもしれません。
ただ、傾向があることと、そうなることは違います。人は、仕組みを知ったうえで別の行動を選べます。
フィッシャーの研究では、長く続く関係の鍵はドーパミンによる刺激ではなく、オキシトシンなど愛着に関わるホルモンの働きだとされています。
これは、日常の小さな行動で高まります。手をつなぐ、ハグをする、一緒に新しい体験をする、ありがとうや好きだと言葉にする。
刺激は自然に減っていきますが、愛着は意識して作れます。習慣として愛し続けることで、関係は保たれていきます。
よくある質問
Q. 遺伝子が原因なら、本人の責任ではないのですか
A. 遺伝子は傾向を作りますが、行動を決めるのは本人です。同じ型を持っていても浮気しない人はたくさんいます。自分にはそういう傾向があると知ったうえでどう選ぶかが、責任にあたる部分です。
Q. 浮気する人は、パートナーを愛していないということですか
A. 必ずしもそうではありません。愛着の回路と、新しい刺激を求める回路は別々に動きます。愛しているのに浮気する、というのは仕組みとしては矛盾しません。ただ、それが許されるかどうかは別の話です。
Q. 浮気された側が深く傷つくのはなぜですか
A. 裏切りは、関係の土台そのものを壊すからです。相手を失うかもしれないという恐れと、これまで信じていたものが崩れる感覚が同時に来ます。あなたの傷つきは、自然な反応です。
Q. 一度浮気した人は、また浮気しますか
A. 過去に経験のある人は繰り返しやすいと言われます。ただ、本人の意識や環境が変わることで、変わる場合もあります。
Q. 相手がツインレイだと言っています
A. 強く惹かれる感覚は、依存状態でも同じように起こります。渦中では見分けがつきにくいので、その関係の中で自分の生活が保てているかを目安にしてみてください。
Q. 何度も浮気される側になってしまいます
A. 相手を変えても同じことが起きるなら、自分がどこで線を引けていないかを見てみてください。責任があるという意味ではなく、次に効くのはそちらだという話です。
まとめ
浮気には、新しさに反応する脳の仕組み、遺伝的な傾向、そして文化と本能のずれが関わっています。
ただ、これらは免罪符にはなりません。傾向があることと、そうすることは別です。
縁の側から見ると、浮気相手として現れるのは短期の縁であることが多く、役割が終われば熱は冷めます。繰り返す人は、相手を変えても同じ場所に立った人を呼びます。
仕組みを知ったうえで、それでもどう生きるかを選ぶ。それが、人間にできることだと思っています。







